花と伝説~勿忘草(忘れな草)

ある日、ドナウ川の岸辺をルドルフという名の騎士と、その恋人ベルタが歩いていました。
ベルタはその急流の中に、ある花を見つけました。

ルドルフはベルタのためにその花を摘もうと、流れに身を投じました。しかし流れはルドルフが思うよりも、ずっと激しいものでした。花に手が届いたものの、ルドルフの身体は急流に飲まれてしまいました。

もはや命は助からない、と悟ったルドルフは「僕を忘れないで!(Vergiss-mein-nicht!)」と叫び、手にした花を岸辺のベルタに投げて、流れに消えてしまいました。

ベルタはその言葉通りにルドルフを生涯忘れず、この花=勿忘草を髪に飾り続けました。
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これが、中世ドイツでの勿忘草にまつわる有名な伝説です。

そもそも世界各地には神秘的な力を持つ「青い花」が地中の宝を開いて見せる、という民間信仰がありました。
ドイツにもその信仰が伝わっており、この伝説にもおそらく、その影響があったとおもわれます。

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