花と神話~サフラン

花の女神クロ―リスが牧場のそばにある湖畔に座っていました。

もう晩秋になり、花の女神クロ―リスは春から秋まで一年中いろいろな花を咲かせ続けていたことを考えていました。それはとても楽しい懐かしい記憶の踊る思い出でした。

そのとき突然牧場のニンフがクローリスの前に現れて、懇願しました。

「羊たちが野原の草が枯れていくのを悲しんでいます。寂しがっています。クローリス様、羊たちが身を横たえることが出来るように、もう一度花を咲かせてください。」

「花を咲かせる仕事はもう終わりました。だからもうできません。」

花の女神は断りました。

それでもニンフたちは、くじけずに何度も何度も女神に懇願をしました。

「どうか、花を最後に咲かせてください。楽しい花を!」

とうとうその熱心さに負けた花の女神クロ―リスは、秋の最後に咲く花としてサフランを咲かせてやることにしました。

こういう訳で、今でもサフランは花の季節の最後に咲くのだ伝えられています。

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