今日の散歩道(97)~テイカカズラ(定家葛)~

日本原産で本州以南に広く分布している蔓性の常緑低木で、若木は地面を這うように育つので庭の土押さえに用いられ、

また成長に伴い樹木に巻き付いたり、岩やブロック塀に気根を下ろして成長するので、生垣やグリーンカーテンに使われています。 夏場につける小さな白色の花は、ジャスミンに似た甘い香りが漂い、葉っぱは秋には美しく紅葉します。

子供の頃から身近な蔓でしたが、名前を知ったのは後年、改めて名前の由来を調べてみました。

「新古今和歌集」の選者で知られる藤原定家が、後白河天皇の皇女・式子内親王に想いを寄せた、お互いの心は通じ合っていたものの身分違いで、恋は成就しなかった。式子内親王は早死にして、その墓石にいかにも抱き着くかのように墓参する藤原定家の姿は度々目撃されたと伝わる。

また藤原定家の「明月記」には、式子内親王の記事がしばしば登場しており、両者の関係は、相当深いものであったと推定されています。内親王を愛した藤原定家が、死後も忘れられずカズラに生まれ変わって墓石に絡みついたと言う伝説に基づき、この様な名前に結びついたのが、この蔓の名前の由来とのことです。

良くできた話だとは思いますが、このありきたりな蔓性植物から、その様なストーリーが思いつくとは、昔の人は想像力が逞しかったという事でしょう。

山仲春男

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