日本のお花畑(1-2)~ショカッサイ:オオアラセイトウ・ムラサキハナナ~

オオアラセイトウ(大紫羅欄花、Orychophragmus violaceus)は、アブラナ科オオアラセイトウ属の越年草。

別名にショカツサイ(諸葛菜:諸葛孔明が広めたとの伝説から)、もう一つの別名のムラサキハナナ(紫花菜)は「紫色の菜の花」の意であるが、単に菜の花(アブラナ)に形状が似ているというだけではなく、実用面でも野菜としての利用や種から油を採取する点などでもアブラナとの共通点が見られる。このためOrychophragmus属はショカツサイ属ムラサキハナナ属とも呼ばれる。

ハナダイコン(花大根)(カブ)とも呼ばれることがあるが、この名前は花の外観が類似した同科ハナダイコン属のHesperis matronalisにも与えられているため混乱が見られる(ダイコンが野生化したハマダイコンとも別種)。

3月から5月にかけて開花する。最盛期には50cmくらいまで直立する茎を伸ばす。5月から6月頃に種子が熟し、自然に、散布される。一年草だが繁殖力は強く、花が咲いて種が散布されると、翌年からは定着しやすい。

日本には観賞用および油を採取するため、遅くとも19世紀末には導入され、20世紀中頃から各地に広がった。戦中から戦後にかけて星薬学専門学校(星薬科大学の前身)の初代校長山口誠太郎が紫金草(シキンソウ)と称して種子を広める活動をした。同属では他に帰化した種はないとされる。

農地の拡大や都市化の進行によっていったん衰退したスジグロシロチョウが、20世紀後期になって都市部を中心に個体群を増大させたのは、このチョウの食草として好適なオオアラセイトウの分布拡大の影響が大きいといわれている。

*利用

群生して開花する様はなかなか美しいため、庭などで栽培されることも多いが、道端や空き地でも普通によく育つ。日当たりが悪い場所でも比較的旺盛に生育するので栽培地をあまり選ばない。若い葉や花芽などは食べられるため、中国北部では野菜として栽培され、種子からはアブラナと同様に油を採取することもある。

種子が販売されているが、野生化している個体から容易に種子を採取することも可能。なお、国内の園芸面では標準和名のオオアラセイトウではなく、ムラサキハナナの別名で通じることが多い。

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