花と神話~ロータス

トロイア戦争からギリシャに帰還する途中、オデュッセウスたちの乗った船は風に流されてある島にたどり着きました。そこには「ロータス・イーター」と呼ばれる人たちが住んでいました。その名の由来は彼らがロータスの実を常食していたからです。

そんなことは知らないオデュッセウスは部下に命じてこの島を探らせることにしました。ところが、偵察に行った部下たちはいつまでたっても戻ってきませんでした。

実は偵察に行った者たちはこの島の住民から勧められてロータスの実を食べたのでした。この実は美味しいだけでなく食べると気持ちが良くなって、自分の使命などはもちろんのこと、何から何まで全てのことを忘れてしまうのです。そして、その実を食べることだけしか考えなくなるのです。それを知ったオデュッセウスは、急いで部下たちを船に連れ帰ると、こんなろくでもない島に長居は無用と、その島から逃げ出したのでした。

それ以降、煩雑な生活から逃れて、贅沢な夢のような生活送る人のことを「ロータス・イーター」と呼ぶようになりました。このロータスとは、日本ではスイレンやハスとされることが多いのですが、実のところは正体不明です。ただ、ハスの「花ことば」にある「休息、横たわる」というのはこの物語に因むのかもしれません。また、「遠ざかった愛」という花言葉も、故郷も妻や恋人も忘れてしまったオデュッセウスの部下たちのことかもしれません。

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