花と神話~ギンバイカ

昔、アプロディーテはミュルティラとかミュルティアと呼ばれたことがありました。パリスが神々の中でアプロディーテが一番美しいと審判を下した時彼女の頭を飾ったのがギンバイカだったという話があり、それはアプロディーテの花になりました。学名のミルトスもアプロディーテの古い呼び名からとったものです。

盗賊にさらわれたミュレネという娘をアプロディーテが助け、自分の神殿の巫女にしました。ある祭りのおり、ミュレネは自分をさらった盗賊の一味を見かけました。復讐心に燃えるミュレネはそのことを恋人に告げ、
「もしあの男を殺してくれたら、あなたと一緒になりましょう。」
と約束しました。恋人はうまくその盗賊を殺し二人は一緒になりました。

しかし、それを聞きつけたアプロディーテは、ミュレネが自分の巫女であるという立場を忘れたことにひどく腹を立てました。そこでその若者を死の病に陥れ、ミュレネをギンバイカに変えてしまったのです。

この神話よりも古くあったと考えられている話では、元気な娘ミュルシネはアテナと競走したことがあって、何と娘は女神に勝ってしまったのです。それに腹を立てたアテナがミュルシネをギンバイカに変えてしまったということになっています。

競争に負けた女神が復讐心から人間を別のものの姿に変えてしまうというんは、私たちにはあまりにも神々が勝手すぎると思えます。しかし、神々は昔の人々にとってそれほど大きな力を持ち、絶対的な存在であったということを表しているものだとも思えます。

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