花と伝説~菅原道真「飛梅伝説」
平安時代の貴族・菅原道真(845~903年)は、朝廷内での公卿・藤原時平(871~909)との政争に敗れ、遠く九州・筑前国の大宰府へ左遷されることになりました。
道真はとりわけ愛でてきたウメの木、サクラの木、マツの木との別れを惜しみます。
道真を慕う庭木たちのうち、サクラは悲しみに暮れてついには枯れてしまいました。
ウメとマツは道真の後を追って空を飛びます。しかし、マツは途中で力尽き、摂津国八部郡板宿近くの丘に降り立ち、この地に根をおろしました。
ウメは一夜のうちに大宰府まで飛んでゆき、その地に降り立ったといいます。
以下は、菅原道真が庭の梅の花に別れを惜しんで詠んだ歌です。
東風(こち)吹かば にほひをこせよ 梅花(うめのはな) 主なしとて 春な忘るな
(私がいなくなっても、春が来るたび忘れることなく、梅の木よ、芳しい花を咲かせておくれ)