カラーの想い出
花については詳しくない自分だが、「カラー」と聞いて思い出すことがひとつある。かれこれ25年も前になるだろうか。現役で貿易に携わっていたころの話である。
当時、わが社では新規事業を積極的に立ち上げようという方針が強く出ており、ちょっと魅力的な案件にはゴーサインが出やすい雰囲気があった。審査も甘く、以前なら通らなかったような案件でもどんどん通していくような今から思えばリスキーな状態でもあった。
同じ課の2年先輩の上司が計画したのは、ニュージーランドから花を輸入するというもので、まっさきに検討されたのが「カラー」だった。花にはさほど興味がなかった私も見せられた数枚の写真に写った純白のカラーを見て綺麗だなと思ったことを覚えている。
しばらくの間、開発課とその先輩が中心になり協力して話を進めていた。現地サイドはオークランド支店が窓口になり仕入れについてはまず問題はなさそうだった。後は、空輸したあと空港から花卉市場までのデリバリーや花の仕分け作業を何処でどのようにやるかなどであった。
私は、メインの仕事が他にあったので少しだけ手伝うような形だったが、その時初めて花卉市場にも足を運んだ。先輩についてあちこち行くうちに実現すれば何だか楽しそうな商売になりそうな気がしていたが現実はそう簡単にはいかず、諸事情で結局この話は立ち消えとなった。
先輩は、この話がもし商売として成り立っていたら、次はオランダからチューリップなどをと考えているようだった。その後しばらくしてその先輩は転勤してしまったので、ひょっとしたら私が後継者として後を引き継いでいたかもしれない。夢に終わった「カラー」の話でした。
ヤタガラス