万葉の花々5:番外《 春の七草(春の七種)1》
七草(ななくさ)とは、様々な観点で挙げられた、7種類の野草・野菜である。
数ある七草の中で、春の七草については、7種の野草・野菜が入った粥(七草粥)を人日の節句(旧暦1月7日)の朝に食べる風習が残っている。
しかし、元々の「七草」は秋の七草を指し、小正月1月15日の物は「七種」と書く。この七種も「ななくさ」と読み、一般には7日正月の物を七草と書く。現在では元々の意味は失われ、風習だけが形式として残った。これらの事から、人日の風習と小正月の風習が混ざり、1月7日に「七草粥」が食べられるようになったと考えられる。
春の七草(春の七種)1 |
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せり(芹) → セリ
*セリの花言葉:「清廉で高潔」「貧しくても高潔」 *花名の由来
属名の学名「Oenanthe(オエナンサ)」は、ギリシア語の「oinos(酒)」と「anthos(花)」が語源ともいわれます。 和名の芹(セリ)は、競り合う(せりあう)ように群生していることに由来するといわれます。 英語では「Water dropwort(水セリ)」や「Japanese parsley(日本のパセリ)」と呼ばれます。 *セリの誕生花:1月7日・1月11日 |
なずな(薺) → ナズナ(ぺんぺん草)
薬用にも用いられていて、開花期の全草にコリン、アセチルコリン、フマル酸、パルミチ酸、ビルビ酸、スルファニル酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、アルギニン・メチオニンなどのアミノ酸、ショ糖・ソルボスなどの炭水化物、フラボノイドなどの成分を含んでいる。アセチルコリン、コリンなどは副交感神経に対する刺激作用があると言われ、唾液や胃液の分泌を促し、血圧降下の作用もあるといわれている。 *ナズナの花言葉:「あなたに私のすべてを捧げます」。 *ナズナの英語の花言葉:「I offer you my all(あなたに私のすべてを捧げます)」。 *ナズナは1月17日の誕生花です。 |
ごぎょう(御形) → ハハコグサ(母子草)
春の七草でよばれるオギョウ/ゴギョウ(御形)は、幼苗のロゼットの部分を摘んで、他の具材とともに七草がゆに用いる。また茎が立つ以前の若苗を細かく刻んで、餅米の粉に混ぜ込んで、草餅、草団子をつくることができる。花がつき始めるころの草体は、葉の裏側の毛を除いて軽く茹でて、お浸しにして食べることも出来る。 かつては3月の節句に若芽を摘んで、餅に入れて草餅にして、「母子餅」とよんで祝いに用いられていた草であった。もともと草餅は、香りづけや色づけではなく、餅のつなぎとして草が入れられたもので、そこで全体に細かな毛が生えていたハハコグサが用いられ、餅に絡まって粘りを出すために役立てられていた。ハハコグサを使った「母子餅」は雛祭りに欠かせないものだったが、「母と子を臼と杵でつくのは縁起が良くない」として、平安時代ごろから蓬に代わったともされているが、実際には、出羽国秋田や丹後国峯山など、地方によっては19世紀でも草餅の材料として用いられている。餅草がヨモギに変わったのは、江戸時代初期ともいわれているが、これには異説もあり、明治のころからヨモギを使うようになったとみられるとする説もある。 *花期の地上部の茎葉には、フラボノイドの一種であるルテオリン・モノグルコシド、フィトステロール、硝酸カリ、カリウム塩などを含んでいる。カリ塩が約1%と多く含むことから、尿の出を良くする利尿作用、痰の切れを良くする去痰作用があると考えられている。カリ塩以外の他の成分も、前記の作用を補助していると考えられている。 |
はこべら(繁縷)→ はこべ(繁縷、蘩蔞) (春の七草2で解説) |
ほとけのざ(仏の座)→ コオニタビラコ(小鬼田平子) 同上 |
すずな(菘)→ カブ(蕪) (春の七草4で解説) |
すずしろ(蘿蔔)→ ダイコン(大根) (春の七草5で解説) |
~「春の七草2」へ続く~
ソフィア