有用植物利用法(51):びっくり植物~日本一のコウヤマキ(高野槙)~

  びっくり植物~日本一の高野槙~

滋賀県甲賀市にあり、聖徳太子創建と伝わる油日神社。
本殿にある大木は、高野槙としては日本一の巨木で樹齢750年、幹回りは6.5m。

日本一の高野槙のある油日神社は、全く人影のない神社でした、周辺に人家も少ない。
しかし境内にある建屋は、全て総檜皮造りの立派なもので、財政面がどうして成り立っているのか不思議でした。
私は巨木を見るのが趣味の一つで、ドライブ散策ルートで見つかれば必ず見学してます。
一般的に仏さんに使われる高野槙が神社本殿に植わっているのか、それが不思議でした。

本殿正面から、この高野槙を入れて写真を写したかったのですが、門塀が閉っていて木の根っ子が見えないので、裏山によじ登って撮影しました。                                                   (山仲春男)

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〔有用植物利用法〕参考:Wikipedia より「高野槙」(Sugimoto Chieko)

コウヤマキ(高野槙、高野槇、学名:Sciadopitys verticillata)は、マツ目コウヤマキ科の日本の固有種。常緑針葉樹で高木となる。別名ホンマキ。コウヤマキ科は1属1種であり、コウヤマキのみを含む。

かつては世界中に広く分布していたが、新第三紀では北アメリカで、更新世にはヨーロッパでも滅び,自生集団は日本にだけ残存している。

庭園に植栽し、材木としても利用される。木曽五木の1つ。古代には、棺材として最上級とされた。弥生時代や古墳時代には木棺として用いられている。

水に強くて朽ちにくいことから、現在でも湯船材や橋梁材として重宝されている。和名は、高野山真言宗の総本山である高野山に多く生えていることに由来する。また、高野山では霊木とされる。

*形態

コウヤマキの高木

常緑高木で、高さ30 m以上、直径1 mに達するものがある。特に手入れをしなくても狭円錐形の非常に整った樹冠を形成するため、造園木として重宝される。樹皮は若枝では赤褐色であるが、後に灰褐色に変わる。枝は一見して先端に葉が輪生しているように見えるが、実際には長枝の先端部に多数の短枝が輪生しており、その先に長さ6-14 cmの針葉が付いている。

葉には針葉の他に小型の鱗片葉があり、長枝の基部から先端部にかけて螺旋状に付く。針葉は柔らかくしなやかで、2枚の葉が合着するという極めて特異な形態が見られる。合着葉は先端がややへこみ手に刺さるようなことはなく、表面に鈍い光沢がある。葉の裏面には帯白色の気孔帯が見られる。花は雌雄異花で早春に開花する。

コウヤマキの森(神戸市立森林植物園)

福島県から九州までの山地に野生する。岩尾根によく生育し、幅が狭く、真っ直ぐに突き出たような樹形を見せる。徳島県と山口県でレッドリストの危急種、愛知県と宮崎県で準絶滅危惧の種の指定を受けている。愛知県新城市にある「甘泉寺のコウヤマキ」と宮城県大崎市にある「祇劫寺(ぎこうじ)のコウヤマキ」はそれぞれ国の天然記念物に指定されている。

*利用法

栽培されることも多い。外国でもコニファーの一種として知られる。ホンマキとも呼び、イヌマキに対比させる。材木としては丈夫で朽ちにくく、水に強いなどの特性から、古代から高級な棺や水桶、橋杭などの材料として多く使われている。古墳時代前期の前方後円墳の竪穴式石室に埋葬された巨大な木棺は、コウヤマキの巨木の丸太をくり抜いて作ったものが多かった(割竹形木棺、舟形木棺)。また、日本ばかりではなく、生い立ちが日本と深く関わっていた百済の武寧王の棺にもコウヤマキが用いられたことが、発掘調査で確認されている。橋杭としては、千住大橋で使われたものが有名である。

高野山を中心に仏に供える花の代用として用いられており、名前もこれに由来する。高野山には、植林されたコウヤマキの人工林がある。また、高野六木にも選ばれている。和歌山県では山でのコウヤマキの採取が激しい。横枝はお供えに向かないので、特に上向きの先端が狙われる。そのため、入りやすい山のコウヤマキは全て上が詰まった姿になっている。

木曽五木の一つのコウヤマキ。2006年9月6日に誕生した秋篠宮家の悠仁親王のお印でもある。

2006年(平成18年)9月6日に誕生した秋篠宮家の悠仁親王のお印でもある

 

 

*コウヤマキの花

コウヤマキは雄花と雌花が同じ株に咲く植物です。雄花は薄い黄色で、枝の先に20~30個連なります。一方雌花は、オレンジがかった色で枝先に1~2個開花します。開花の時期はおおむね4月で、開花する期間は10日と非常に短くなっています。

コウヤマキの花言葉

コウヤマキの花言葉は「奥ゆかしさ」です。奥ゆかしさとは、上品で慎み深く、魅力的なさまを表します。派手さはありませんが、上品で凛とした雰囲気のコウヤマキにぴったりの花言葉ですね。またコウヤマキは源実朝の和歌にも詠まれたこともあり、どことなく風情のある高木です。

コウヤマキの葉

コウヤマキは常緑の樹木なので、葉はいつでも緑色をしています。長い枝には鱗片葉といわれるうろこ状の葉があり、短い枝には長さ6~13cmの針葉が放射状に生えています。針葉の先がわずかながらへこんでいるのが特徴です。

コウヤマキの幹

コウヤマキの幹は直径1mほどです。大きいものだと1.5mほどになるものもあります。色は赤褐色で、樹皮がはがれるところも特徴のひとつです。

コウヤマキの実

コウヤマキはマツ目であるため、雌花が咲いた後には「球果」、いわゆる「松ぼっくり」が出てきます。この松ぼっくりの中にあるのがコウヤマキの実です。

コウヤマキの香り

コウヤマキは、アロマオイルに利用されることもあります。爽やかで落ち着く森の香りが、心を鎮めてリラックスさせてくれます。

水に強く腐りにくい

コウヤマキは水に強く腐りにくいので、浴槽や風呂桶などの水回りのものによく使用されます。またその昔、木棺に活用されていたのも、こういった性質を持っていたからだと考えられています。

*コウヤマキの利用法

古くからさまざまな用途で重宝されてきたコウヤマキですが、現在も多様な場面で利用され、活躍しています。現代の活用方法をご紹介します。

①木材として

水に強いコウヤマキは、木材として漬物桶や味噌桶、風呂桶などに利用されています。しかし現在は数が減っているため、木材としては希少価値の高い存在になりつつあります。

②歯磨き粉やオーラルケアグッズ

コウヤマキのエキスは高い殺菌作用があり、歯周病の予防・改善に役立つといわれています。開発者は当初育毛剤を作る目的でコウヤマキのエキスを利用しようしましたがうまくいかず、その研究の副産物として見いだされたのが歯周病改善の効果でした。その結果、現在はコウヤマキのエキスを配合した歯磨き粉やオーラルケアグッズが販売されています。

③仏壇のお供え物として

特に関西では、お盆やお彼岸の際にコウヤマキの枝葉を仏壇にお供えする習慣があります。これは弘法大使が花の代わりにコウヤマキの枝を供えたことが始まりといわれており、コウヤマキがなかなか枯れにくく、いつまでも緑色を保っておけることから定着したと考えられています。

④庭木として

コウヤマキは庭木としても知られています。生育はゆっくりしているものの、プランターで育てられる、比較的病害虫にかかりづらい、剪定があまり必要ないといった扱いの簡単さが人気となっています。

コウヤマキは日本固有の植物です。昔から幅広い用途で活用され、日本人の生活にとってとても大きな役割を担ってきました。現在では歯磨き粉やアロマオイルといった新たな用途も見いだされており、その有用性にますます注目が集まるでしょう。花言葉どおりの奥ゆかしいたたずまいは、人々の心を穏やかにしてくれます。

ソフィア

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