今日の散歩道(111)~ススキ(秋の七草 7―3)
(秋の七草 7―3) 日本の秋の代名詞の様に親しまれているススキは、古事記や日本書紀にも登場し、古代から生活に大変身近な植物でした。茅葺屋根の素材に使われ、葺き替え用に毎年刈り込んで貯えたり、現在は目にする機会が無くなりましたが炭焼きの炭を入れる為の俵の素材に使われ、郷里で冬場の内職として炭俵を編み込んでいるのを幼少時に見た記憶があります。
同じ頃に、私の家では2月某日に、花穂がついた1メートル以上の茎を箸に、小豆の入ったお粥を食べる風習が小学校の低学年の頃まで続いていました。 大きな花穂のついたススキの茎を、稲穂に見立てて米の豊作祈願だと聞いた記憶が有りますが、長すぎる箸使いは子供には厄介なものでした。
現在も続いている風習としては、6月の「茅の輪くぐり」、若い青々したススキで編んだ輪をくぐり抜けて無病息災を祈願するもので、東京大神宮を始め、各地の神社で行われています。 また9月には、中秋の名月へのお供えとして萩の花枝と一緒に供えられ、私の家でも亡き母が三宝の上に団子に見立てて剥いた里芋と一緒に並べてた想い出が残ってます。
ススキは、山野や空き地に自生するイネ科の多年生植物で、東アジア原産、北米では繁茂を警戒して、侵略的外来種に指定されている様です、日本で繁茂してるセイタカアワダチソウの逆の扱いです。
花穂を動物の尾に見立てて「尾花―おばな」と呼び、この植物の別名になっており、花穂に綿毛をつけ種とともに風に乗って飛び散る状況には風情が有ります。
山仲春男