今日の散歩道(69)~ヘクソカズラ~
本日も幼少時の想い出に繋がる植物の紹介です。
ヘクソカズラ(屁糞葛)は日本の在来種で、万葉集にも「くそかずら」として詠われており、古来からある身近な多年生植物です。
可哀そうに感じるほどひどい名前で、葉も幹も触ると手に匂いが着き、この匂いは少々洗っても抜けません。
ヘルカプタンと言う物質が匂いの素で、害虫も寄り付きません。
鳥がついばみ糞で放出したものが、発芽して草藪・樹林・フェンス・金網に絡みついて繁殖域を拡げます。
地上部を処理しても、地中に残る根っこから、また蔓を伸ばして来ます。
私の生家では、小学校低学年の頃まで、農業用に牛を飼っていました。夜露が残っているススキ主体の雑草を刈ってきて、それを積み上げておくと、待ってましたとばかりに柵から首を伸ばし食べ始め、暫く時間を空けて見に行くと、綺麗に草の山は胃袋に収まり、草に混じっていたヘクソカズラを手も使わないで振るい分けて、それだけを食べずに残してたのが、印象に残っています。
英語名でもスカンク・ヴァイン(Skank vine-スカンクのツル)と和名と似通った名前がついています、彼らにも匂いを理由に同じイメージを持たれているのでしょう。余談ですが北米に自生する水芭蕉は花の色が黄色で、これも凄い悪臭のようで、こちらはスカンクのキャベツ(Skank cabbage)との名前がついています。
ヘクソカズラは晩秋に稔る実の形が、5ミリ程度の黄褐色で、美しいので、リース飾りやドライフラワーにも利用されています。
山仲春男